Oracle新人のRACインストール その8
<Oracle新人のRACインストール その8>
ペンネーム: “world-cup” famous beagle
今回は、Oracleの環境変数の設定についてです。
また、前回のメルマガの内容について、読書の方々よりメールが届いておりま
すので、訂正させていただきます。
「おはようございまーす」
よし、今日も一日頑張るぞ!
あれ、岸田さんの姿が見えないな・・・。
「富樫さん、今日岸田さん、まだ来てないですか?」
「今日、岸田さん風邪で休みだってさ」
「本当ですか!?やったー、じゃあのびのびですね」
「ずいぶん、ご機嫌だね」
「あ、いやそんなことないですけど。心配だなぁ」
今日は、気分が楽だな。
とりあえずゆっくりメールのチェックでもしようかな。
“送受信”
“岸田さんよりメールが届いています”
「ん?岸田さんからメールだ。やな予感・・・」
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印旛くん
今日は休みますが、RACのインストールはしっかり進めて下さい。
おそらく君は、環境変数を理解していないので、富樫くんか斉藤くんに聞いて
下さい。
あと、先週のSSHについては、文章が間違っています。
勉強しなおして、訂正してください。
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やっぱり厳しいメールだ。休んでるのに存在感があるな・・・。
恐るべし・・・。
きちんと勉強しなおして、訂正しよう。
早速、先週の訂正から。
岸田さんのメールの感じだと、自分の理解はあってるということでいいのかな。
文章の表現がまずかったみたいだけど・・・。
まずは、読み直すしかないか。
—読み直し中—
んー、やっぱりどこが間違っているかは、わからないな。
勉強しなおすしかないか。よし。
「ふむふむ。あ!やっぱり前回のメルマガの書き方だと違う!」
皆様、申し訳ありませんでした!
訂正させて頂きます。
前回のメルマガの記述で誤りがあった部分は、
## SSHは、公開鍵を使ってデータを暗号化し、秘密鍵を使ってデータを元に戻
## します。
## RACの場合は、各ノードで秘密鍵と公開鍵を作り、公開鍵を集めて、全ての
## ノードで持っていれば、SSHで通信することが可能になります。
という部分です。
もう少し詳しく説明すると、SSHは、お互いの認証には公開鍵を使い、実際の
通信には共通鍵を作成して暗号化を行っています。
SSHを理解するうえで重要なポイントは、”ユーザ認証”と”暗号化”といえます。
SSHの設定手順は、前回メルマガを参考にしていただいて、どのような流れで、
SSHの通信が行われているかというと・・・
1.(RACの場合は、)公開鍵、秘密鍵を作成し、各サーバで公開鍵を交換しあう
2.初回のSSH接続時に、接続する側が公開鍵を接続される側に送る
3.接続される側が、その公開鍵の情報を~/.ssh/known_hostsに登録する
→ ユーザ認証
4.セッション毎に、通信を暗号化するための、共通鍵を発行する
5.SSH通信が暗号化される
よし、それじゃ勢いに乗って、環境変数に移ろう!
岸田さんのいうとおり、全くなんのことかわからないけど・・・。
「斉藤くん、環境変数っていうのは何?」
「えっと、それはLinuxの場合は、envコマンドで見ることが出来ますよ。
システムの属性を記録している関数のことです」
「そうなんだ。システムの属性って何?」
「OSの環境変数というのは・・・。例えば、Oracleの環境変数ならば、Oracle
の実行ファイルが置いてあるディレクトリを指定することで、Oracleが起動で
きるようになります。
指定されていないとOracleのモジュールをインストールしても、Oracleは起動
できません」
「うーん。かなり重要ってことだよね?」
「きちんと設定だけすれば何も問題ないですよ」
「なるほど。設定はどうやってするの?」
「僕の場合は、いつもoracle_envというテキストファイルにOracleの環境変数
を入れて、.bash_profileに登録してますけど、方法は何でも大丈夫ですよ」
「何でも大丈夫?けど、その方法でやってみる」
なんか斉藤くん冷たくなった気がするな・・・。
簡単なことばっかり聞くなってことかな。
とにかく設定してみよう。
■Oracleユーザのホームディレクトリへ移動 $ cd /home/oracle ■Oracle用の環境変数のテキストファイルを作成する (ファイル名は、"oracle_env") $ vi oracle_env ###Oracle10gR2 環境変数### export ORACLE_SID=******(任意のOracle用システムID) export ORACLE_BASE=/opt/app/oracle export ORACLE_HOME=$ORACLE_BASE/product/10.2.0/db export ORA_CRS_HOME=$ORACLE_BASE/product/10.2.0/crs export PATH=${PATH}:${ORACLE_HOME}/bin:${ORA_CRS_HOME}/bin export LD_LIBRARY_PATH=${ORACLE_HOME}/lib export NLS_LANG=japanese_japan.JA16SJIS ■oracle_envを.bash_profileに登録する $ cd /home/oracle $ vi .bash_profile ###Oracle10gR2### . oracle_env
一つ一つ調べていくと・・・
■ORACLE_SID
OracleデータベースのシステムIDを指定します。
■ORACLE_BASE
Oracleがインストールされているベースディレクトリを指定します。
■ORACLE_HOME
実際にOracleがインストールされるディレクトリを指定します。
通常は、ORACLE_BASE/product/バージョン/dbとします。
■ORA_CRS_HOME
Clusterwareがインストールされるディレクトリを指定します。
通常は、$ORACLE_BASE/product/バージョン/crsとします。
■PATH
各種モジュールのサーチパスを設定します。
今までのサーチパスに加え、ORACLE_HOME/binを追加します。
■LD_LIBRARY_PATH
各種モジュールが必要とする、共有ライブラリのサーチパスを設定します。
今までのサーチパスに加え、ORACLE_HOME/libを追加します。
■NLS_LANG
Oracleが表示するメッセージはデフォルトでは、英語ですが、環境変数を設定
することで日本語が表示されます。
うーん、Oracleがこの環境変数を読み込んで起動するのか。
あんまりイメージがわかないな。
「富樫さん、Oracleの環境変数の設定はできたんですが、あまりイメージがわ
かないんですけど」
「環境変数がどういうものかは、わかったんでしょ?あとは、やってみるしか
ないね」
「あ、そうですか。やればわかる系ですね?」
「そうそう。試しに環境変数設定しないでインストールしてみたら?」
「それだと、Oracleが動かないんですよね?」
「うん。けどインストールの時はどうなるんだろうね?
なんでうまくいかないかがよくわからないんでしょ?」
「あ、確かにそうです。あと、”.bash_profile”っていうのはなんですか?」
「それは、telnetでログインしたときに一番初めに読み込まれるファイルだよ。
そこに、Oracleの環境変数を入れとけば、いちいちORACLE_HOMEとかをexport
しなくてもよくなるってこと」
「なるほどー」
環境変数は、やっぱりインストールして実際にOracleを動かしたらイメージが
わきそうだな。
とにかく先に進むしかない!
印旛くんのRACインストール作業も、少しずつですがOracleに関係するところ
まで進んできました。
何事もきちんとした準備をすることが大切ですよね。
頑張りましょう。
practice makes perfect!!